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CFRPの課題

現在、自動車は高張力鋼鈑(ハイテン)が多く使われるようになってきました。

高張力鋼鈑が何故多く使われる様になってきたのでしょうか?
それは、コストが以前より下がってきたからです。
以前は大きな部品や複雑な形状の部品はプレス時の不良率が多く結果としてコストが高くなってしまったそうです。
従来鋼板の補強部品や形状の簡単な小さな部品に限られていました。
ですが、現在は半分近く高張力鋼鈑が使用されています。鉄鋼メーカーの弛まぬ努力とプレス機器の進化により大部分の部品が出来るようになり結果として
コストが下がり大量に採用されるに至ったという事です。
メーカーはコストが下がったから単純に使用範囲を増やしたのではなく従来鋼鈑より軽量化が見込めたからでした。
軽量化は自動車メーカーにとって死活問題でした。「燃費」「快適装置」「安全装置」等の部品点数は増えるばかりです。

近い将来電気自動車の時代が来ようとしています。
電気自動車に移行した場合エンジンやトランスミッションはモーター等に置き換わり若干軽量化されますが、
今度は電気を蓄えておく為のバッテリーが部品単体重量の主役になるそうで、更に軽量化を進めなければ自動車メーカーも淘汰されてしまう。
軽量化を進めるうえで有効な素材としてCFRPがあります。
軽量化では劇的に軽量になります。F1のモノコックに使われていて、大クラッシュしてモノコックだけになったとしても
F1パイロットは自力で脱出して何事もなかったように歩いてその場を立ち去るシーンを何度か見ました。

CFRPで軽量化と高剛性の両立を目指した設計をした場合、かつてのF1モノコックの主役、
アルミ合金では得られない軽さと強度をCFRPは実現可能にする素材なのです。
ですが、自動車メーカーの設計者も喉から手が出るほど採用したい「カーボンファイバー」
炭素繊維メーカーが喉から手が出るほど進出したい自動車産業の分野。

お互いウィンウィンのはずですが両者から弱気な意見を聞いた事があります。
それは、5年くらい前の状況ですがCFRP部材成形時間と製造コストとリサイクル性です。
現状ではカーボンニュートラルやらSDGsやらが追加になって、十本指では足りないくらいの課題山積状態でしょう。
しかし、両者は全く諦めておらず課題の解決に取り組んでいるとの事でした。
CFRP業界の端くれにブラ下がっている我々のような小規模事業者には考えつかない方法で前述した課題の克服を目指しているそうです。
恐らくハイテンやアルミ合金も使用しつつ航空機のCFRP化同様、部分的な採用を増やして行く方法でCFRPの採用範囲を増やして行く事となるのでしょう。

最後に私には都市伝説としか思えない事を聞きかじったのですが
驚くことに自動車製造ラインの現状の製造タクト約60秒はCFRPを採用しても変わらないと言う
空恐ろしくなる目標で開発しているそうです。
自動車メーカーや炭素繊維メーカーの絶対に諦めない技術者さん達がいれば
いつの日か実現させてしまうのでしょうね。