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レーシングカー開発で培ったCFRP技術が市販車へも拡大!その経緯を解説

レーシングカー開発で培ったCFRP技術が市販車へも拡大!その経緯を解説

軽く強固なCFRP(炭素繊維強化プラスチック)は、レーシングカーに採用されたことで大きく進化しました。CFRPは製造コストが高いこともあり、市販車への普及はいまひとつではありますが、それでも徐々に利用される範囲は広がっているのです。今回はCFRPと、その特徴が最大に活かされたレーシングカー開発に関する経緯などを、わかりやすく解説します。

 

レーシングカー開発にCFRPが取り入れられた経緯

近年のレーシングカーは、コンポジット(複合材)技術の集合体です。なかでも極限の軽量化と、剛性をそなえたCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics・炭素繊維強化プラスチック)は、レーシングカーのメイン材料として採用されています。過酷なレースに挑むレーシングカーは、究極まで一片の無駄もない合理的で機能的な車体に仕上げられるのです。

CFRP(炭素繊維強化プラスチック)とは

CFRPとは「Carbon Fiber Reinforced Plastics」のことで、4つの単語の頭文字をとっています。単にカーボン樹脂やカーボンとも呼ばれる場合もあります。CFRPはプラスチック(合成樹脂)を、炭素繊維で強化した複合材(コンポジット)です。複合体にしたことで、軽量化・高強度・高剛性(たわみにくい)が優れた素材になりました。

そのようなCFRPの特性を活かして、レーシングカーのみならずゴルフのシャフトやテニスラケットなどのスポーツ用品から、釣りざおや自動車部品や最先端の航空機の機体や機体の部品まで、幅広い産業分野で活用されているのです。

驚異の軽量と高強度

あらためて、CFRPの特徴を紹介すると、何よりも軽いです。本来のプラスチックは弾性が低くいうえに、脆く壊れやすい性質があります。そのため重量がかかる構造材としては向いていません。そこでプラスチックに、強度や弾性に優れた炭素繊維を強化材として合体させることで、軽量ながらも高強度となる素材が実現したのです。

CFRPは、軽い金属のアルミやチタンよりもいっそう軽く、鉄と比較すると比重は4分の1程度です。また、強さを表す「高強度」では、CFRPの強度は鉄の10倍ほどで、弾性は7倍になります。さらに、耐熱性・耐摩耗性・耐酸性・導電性にも優れているため、金属にとって代わる、最先端の材質とされてレーシングカー開発で採用されました。

CFRPは異方性材料

CFRPのもう一つの特徴が、異方性材料である点です。異方性を紹介する前に、等方性について解説しましょう。等方性とは方向によらず特性が同じ材料物性を指し、鉄やアルミなど金属が該当します。

一方で異方性材料とは物理的性質が方向によって異なることで、CFRPのように繊維と樹脂という性質の異なる材料の組み合わせにより、繊維の配向方向や材料の種類を変えることで、強度や剛性を変えられます。そこから、金属では製作が難しい形状の部品を実現したり、従来複数の金属部品であったものを統合した形状にしたりも可能です。

 

レーシングカー開発のCFRPには難題もある

CFRPは鉄よりも軽くて強く、使用可能な範囲が広い素材ですが、コストが高い点から量産製品には向いていません。また、希望通りに加工する場合は、加工コストがいっそう高くなる点も難題といえます。そのような課題があることから、航空機や高級スポーツ用品に医療機器など、製品価格が高い分野で普及しています。

またレーシングカーについては、車の製品開発の役割もあり、試走車を運転するドライバーの安全確保も重要です。さらに、レーシングカーは販売を目的とした量産品ではないために、コスト面は重要視されず、高価なCFRPがふんだんに使われています。

 

レーシングカー開発について

一部記述ですが、レーシングカーは、市販車に比べてコストよりも車の性能が重視されます。車両を高速で走行させるため、CFRPをボディに用いることで車体を軽量化しつつ、万が一衝突した場合にはCFRPの衝撃吸収性の高さで、ドライバーの安全を確保するように設計されています。

そのような用途に最適となるのがCFRPで、まずレーシングカーで実際に走行し、市販車に応用できるかテストします。そのような経緯で、CFRPの軽量性と剛性が認められ、現在は一部の高級な市販車に採用されました。

市販車へもCFRPが使われるようになった

CFRPはレーシングカーから市販の高級車や低公害車へと、使用される範囲が広がっています。さらにCFRPの製造方法の進化などがあれば、量産化が見込め、コストダウンにつながるのです。そうなることで、一般の市販車両にも適用が拡大することが期待されます。

 

まとめ

レーシングカー開発はCFRPの進化にも大きくプラスしています。車両の一部でもCFRPを採用することで、車両の軽量化が図れ、その結果世界的に急速に進行しているCO2削減化のトレンドにも寄与します。実際には製造コストの面や、廃車となったときのリサイクルの問題はありますが、レーシングカー開発から生み出された車体の軽量化は、今後の一般車両開発に大きく影響を与えるのです。

「株式会社SHAPE FIELD」は、静岡県御殿場市にあります。会社の設立当初よりレーシングカー開発にも参加し、CFプリプレグなどを使用したオートクレーブ成形法によるレーシングカーの部品や、コンセプトカー部品などの製造をメインとしてまいりました。現在ではお客様からのニーズに応じて医療機器をはじめ、産業用部品やデザイン装飾品などの成型加工業務も展開しております。