フェノール樹脂の製品に対して、どのような試験が行われるか知りたくありませんか。樹脂製品は実用化に向けて、さまざまなシチュエーションに基づいたテストが必要です。耐衝撃性や強度などがチェックされ、すべてのテストに合格できれば実用化できます。
今回はフェノール樹脂の試験について知りたい方のため、主な形式を紹介します。これを読めば、試験のやり方を通して、実用性の検証の大切さがわかるでしょう。
フェノール樹脂試験の重要性
フェノール樹脂製品の検証のため、さまざまな試験が行われます。素材に欠陥があると、製品の使用中に事故やトラブルが起きるかもしれません。こうしたリスクを抑える意味でも、試験で安全性を確かめ、問題があれば作り直すことになります。
フェノール樹脂の強みは耐熱性や耐久性などです。そのため自動車や鉄鋼、住宅などの関連製品に用いられます。しかし樹脂に欠陥があると、耐熱性や耐久性が発揮されず、思わぬ不具合が起きかねません。仮に事故へいたれば、製作者が多額の損害賠償を請求されることもあるのです。以上からフェノール樹脂試験は、製品を世に出せるか試すうえで欠かせません。決まった試験にひととおり合格できれば、顧客へ安心して提供できます。
フェノール樹脂試験で行われること
フェノール樹脂試験では、さまざまな形式が用意されています。引張試験や衝撃試験などにパスしなければ、顧客への提供は難しくなります。実用性を試す試験内容について、以下で4つを見ていきましょう。
引張試験
引張試験は、フェノール樹脂の強度を試すうえで、基本となる試験です。ここで主に試される強さは、物体が破断するまで引っ張ったときの力を意味します。つまりどこまで引っ張っても損壊しないかを検証するのです。
引張試験では試験片を使い、破壊されるまで引っ張られたときの力やひずみを測定します。ここでの試験片とは試験用の金属樹脂片で、フェノール樹脂製もあります。試験片が破壊されない状態で、一定の強さまで引っ張られれば、製品に対しても一定の強度を期待できるのです。
引張試験を通して、材料の粘り強さや脆さなどもわかります。あまりに脆すぎるとわかれば、より強度のある製品へ作り直さなければなりません。一定基準以上の強度を検証するうえで、引張試験は大事です。
衝撃試験
次のチェックポイントは、衝撃試験です。フェノール樹脂を対象とする場合「シャルピー衝撃試験」や「アイゾット衝撃試験」などと呼ばれます。樹脂に動的負荷が与えられたときの、エネルギー吸収特性や靭性を評価するしくみです。
フェノール樹脂の衝撃試験でよく使われるのが、振り子型衝撃試験機です。振り子先端の衝撃刃を試験片に当て、破壊時のエネルギーを調べます。破壊時のエネルギーを、試験片が衝撃を受け持った面積で除すれば、単位面積あたりの吸収エネルギーを示せるのです。こうしたプロセスで算出された数値が、衝撃強度となります。
住宅や自動車の部品に使われるフェノール樹脂は、簡単に壊れると商品になりません。以上から一定以上の衝撃強度が求められます。
脆化温度試験
フェノール樹脂の実用性を試すうえで、脆化温度のチェックも欠かせません。脆化温度とは耐寒性を意味しており、低温時の素材の挙動を調べます。一部の素材は冷却時や0℃以下の環境にさらされると、壊れやすくなるのです。物体の損傷によるケガや事故、廃棄などを防ぐため、脆化温度もフェノール樹脂試験で重要とされます。
試験では試験片を使い、一定時間にわたり冷却槽内へ置きます。十分に冷えたところで、ハンマーで試験片を叩くのです。さらに冷却槽内の温度を変えつつ、指定した各温度での破壊された試験片の個数を調べます。ここから試験片の半分以上が破壊された温度を算出し、脆化温度とする形です。フェノール樹脂部品によっては、極端な低温環境にさらされることもあるので、脆化温度も調べなければなりません。
燃焼性試験
燃焼性試験では炎にさらされた物体の耐性を調べます。試験片を垂直につるし、火にさらすのが特徴です。火から離してから自然消火するまでの時間を測ります。自然消火までの時間が短いほど、燃焼への耐性が強いとの判断が可能です。
フェノール樹脂の燃焼性試験は、火災対策につながります。仮に樹脂が燃えやすいと、延焼のリスクをともない、大規模な火災にいたるかもしれません。こうした事態を防ぐため、フェノール樹脂の製品に対し、燃焼性を検証するのです。
まとめ
フェノール樹脂試験では、素材の実用性や安全性を調べるため、さまざまなテストを行います。強度や耐衝撃性、脆化温度などが主な評価項目です。多面的な評価を行い、一定基準をクリアしていれば、実用化へ移れます。フェノール樹脂の製品を扱う事業者は、実用化前の試験を通し、安全性を知ることが大事です。仮に試験結果が一定の水準に満たなければ、製品の見直しが求められます。
「株式会社SHAPE FIELD」は静岡県で生活素材を開発しています。弊社の特徴は、人体や環境にやさしい素材の活用です。持続可能性のある素材から、有用なものを作ることで、社会貢献を果たします。製作依頼にあたっては、依頼者のご要望に寄り添い、最適な製品のプランをご提案します。フェノール樹脂をはじめ、さまざまな素材や部品の試験に関するご相談も受付中です。